平成の迷文句
AさんがCDを買いたいと言うので
迷いつつも渡したら目の前で聴き始め。
音が出た瞬間から、Bさんと共に批評大会が始まりました。
「リズムの枠にとらわれすぎて」云々
「こんな昭和な音楽やってる人、いまだにいるんだ。
『おっさんロマンチック歌謡』って感じかな」 云々
「パンを焼いてきたよ」と差し出したら、
切り刻んで薬品をかけて成分を分析し始める、ような。
食べないんだ、味わわないんだ。
音楽を作った男の子は、顔を真っ赤にして聞いていました。
普段は誰にでも、損しても、ニコニコしている彼が
「Aさん大嫌い!Bさんも大嫌い!」
大きな声で2回、そう言いました。
彼を大好きな私は、2人からCDを奪ってお金を返し
「もういいよ。これは彼らの文化だから。
優しくて楽しい所に帰ろう」と頭をなでました。
あなたが音楽に込めるものは、彼らがどう切り刻んでも見つからないよ。
森に帰ろう。
難しくて厳しいのが社会の言葉なら、ますます社会から離れよう。
平成最後に聞いた67才男子の「大嫌い!」
ズシンと来たのでありました。